個人再生|清算価値が多すぎて減額ができない場合の唯一の対処法
2021/05/02
個人再生の手続きをする最大のメリットは、住宅ローンを残したまま、その他の借金を大幅に減額することにあると思います。
また、自己破産とは違って、個人再生では、実際に財産を処分することはありませんので、再生者にとっても、心の負担は比較的軽いものだと思います。
しかし、処分されることがないと言っても、清算価値として計上されることになるので、財産を多く持つ人にとっては、意味を成さないことになりかねません。
そんな時、弁護士である僕も頭を悩ませる瞬間がたくさんあります。
今日は、清算価値が多すぎる場合の対処法をお伝えしていきたいと思います。
清算価値が多すぎる場合には、財産をお金に換えて、借金の返済に充てる。
その後、任意整理を行うことで、行き詰まりを解消することができます。
・学資保険
・生命保険
・退職金
・有価証券など
こういった財産が多い人は、最低弁済額が大きくなる傾向にあります。
では、解説していきます。
目次
20万以上の価値のあるものは、清算価値へ
自己破産をした時の自由財産として処分に該当しないものを除いて、換価処分(お金に換えて債権者に配当)することになる財産を個人再生では「清算価値」と呼びます。
しかし、個人再生では「お金に換えたとしたら」という計算をしたものを最低弁済額に計上していくだけで、実際に処分されることはありません。
自己破産では、実際にお金に換えて、債権者に配当をしなくてはいけませんが、個人再生では清算価値になる金額を最低弁済額に計上して支払っていくことになります。
※小規模個人再生の最低弁済額
100万円未満………………………全額
100万円以上500万円未満………100万円
500万円以上1,500万円未満……総額の5分の1
1,500万円以上3,000万円未満…300万円
3,000万円以上5,000万円未満…総額の10分の1
つまり、ここに計上していくことになります。
・現金、預金
・退職金見込額
・貸付金、売掛金
・積立金等
・保険解約返戻金
・有価証券(評価額)
・自動車、バイク
・高価品
・不動産など
これらが20万を超えている場合は、その項目が清算価値とされます。
高額な清算価値と予想される場合…
本来の最低弁済額は、100万円です。
・学資保険の解約返戻金が200万円
・退職金見込額が1,600万円(清算価値は8分の1で200万円になります)
・株の評価額が100万円
しかし、清算価値として計上される金額は、500万円でトントンになってしまいました。
これは、とても極端な例ですが、清算価値を計算してみたら、持っている借金総額と変わらないという結果になることもあります。
制度上では、財産を清算価値の対象として考えますが、Aさんにしてみたら、子供のために残しておきたい学資保険だったりするわけです。
そのため、切り崩すことをせずに借金の返済に奮闘しているという方も多いものです。
こんな時どのような対処ができるのでしょうか?
次に説明します。
個人再生ではなく「任意整理」を検討する方向に考えてみる
個人再生をしようとしたところ、大幅な減額ができるのが魅力なのに減額されないとなると、5年で500万円を返済していくことは大変ですし、依頼費用を支払ってやることではなくなってしまいます。
そこで、僕が考える方法は…
例えば、学資保険と株を現金にし、借金の返済に充てます。
この時、
500万円―学資保険(200万円)―株(100万円)=200万円
残る金額は200万円です。
例えば、200万円を任意整理してしまえば、圧迫していた借金の終わりの目処も見えてきます。
単純に200万円を5年で返済すると…
1ヶ月あたり33,333円となります。
債務整理を専門に取扱っている弁護士は、このように頭を捻って、相談者の方がより良い方向へ進めるように考えています。
まとめ
清算価値が多すぎる場合には、財産をお金に換えて、借金の返済に充てる。
その後、任意整理を行うことで、行き詰まりを解消することができます。
清算価値が多いと借金の減額に失敗するのではないかと、お困りになられるかもしれませんが、方法としては、このような形で乗り切ることができます。
また、学資保険などの解約をすると、夫婦間のトラブルになることが、しばしば見受けられます。
家族に内緒でやれる手続きもありますが、内緒では難しいこともあることをご了承ください。
こちらも合わせてお読みください。
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個人再生や破産をする場合、どのくらい財産があるかによって手続きに与える影響が変わります。
今回は財産のうち、退職金の評価方法についてお話します。
就業中の方にとって退職金は、将来支給される予定のものであって、確実に支給されるかは不確定な要素があることから、名古屋地方裁判所では退職金全額を財産とするのでは無く、一定割合の減額をする運用がなされています。
どのくらい減額して評価するかは、退職の時期によって異なります。
原則としては、仮に今自己都合退職した場合の退職金額のうち、「1/8」の金額を財産としてカウントしています。
一方で、退職までの期間が短く、退職金支給の確実性が高いと見込まれる場合は、この割合は増額されます。
個人再生の場合、退職までの期間が3年以内の場合には「1/4」の金額を財産としてカウントすることになっていることに対し、
破産手続きの場合は退職までの期間が何年というのを定めておらず、事案によって裁判所が判断することとなります。
また、あなたの個別ケースによっては、どうなるんだろう?と不安に思う部分もあると思いますので、その際には、法律事務所にて相談してみてください。
無料相談をやっている法律事務所も多くありますので、ご活用ください。