債務整理の依頼を弁護士に電話相談でできるか?
2021/05/21
不要不急の外出や他人との接触を避けるように言われている昨今、
「債務整理の相談や依頼を電話やメールでできないか」と言われることがあります。
このご時世ですから、そのような不安を抱かれることも十分承知しています。
ですが、これからお話する理由によって、僕は、直接の面談という方法にこだわる意味があると考えています。
どうぞ、聞いてください。
弁護士に定められた面談というルール
債務整理の案件の受任については、日弁連が平成23年に「債務整理事件処理の規律を定める規定」を定めていて、これによると、「弁護士は債務整理事件を受任するにあたっては債務者と自ら面談して債務の内容や資産、収入、生活の状況を聴取しなければならない」とされていて、電話やメールで依頼を受けてしまうと、この規定に違反することになってしまいます。
違反した場合、弁護士が弁護士会から戒告や業務停止などの懲罰を受けることになってしまいます。
面談することが困難な特別の事情がある場合はこの限りではないとされていますが、新型コロナで外出が制限されているというのは、やはり特別な事情には当たらないでしょう。
zoomは面談にあたるのでしょうか?
zoomで相談をしてそのまま依頼できるかという問題です。
「面談」を辞書で引くと、「直接会って話をすること」とされています。
zoomは、直接会っていないことから面談には当たらないと思われます。
日弁連の規定は、事件を受任する場合の話ですから相談だけであれば面談しなくてもよい訳です。
ただ、債務整理の問題は相談だけでは解決しないのが実情です。
診断だけして治療しない医者みたいなものです。
債務整理の助言には、相談者の話を慎重に聴く必要がある
また、債務整理について何らかの助言するには、かなり丹念に聞き取りをしておく必要があります。
これを電話やメールでやるのはかなり困難なのです。
ましてや、zoomでやろうと思ったら、どうでしょうか?
随分と、リモート会議として、オンラインのテレビ電話機能のあるものが使われていますが…
最大のデメリットは
「伝えることに精一杯になって、聴くということが双方難しい」
ということが挙げられると思っています。
僕たち弁護士は、相談者の方の声をしっかり聴くことに重きを置かねばなりません。
でなければ、提案するべきことを伝えられないのです。
つまり、現実的には、相談や依頼を電話やメールで、見えない表情を汲み取ること、zoomで顔が見えていても、電波の兼ね合いで明確に伝わらないこともありえますし、相談者の方の背景をすべて汲むことが難しいという風に考えています。
よって、確かな情報を聴くということ、伝えるということについては、直接の面談が好ましいということです。