夫が自己破産する場合「妻の財産」はどうなるのか?
2021/05/18
夫が自己破産することになった時、妻の財産も一緒に処分することになってしまうのでしょうか?
「夫婦」という契約の中には、どれだけの責任が潜んでいるのか、とても気になりますよね。
自己破産では、ご本人の財産だけが対象になり、妻の財産は関係しないのが原則です。
しかし、妻の財産が関係する場合もあります。
では、説明していきます。
仕事をしていたのは誰で、生活費を負担していたのは誰なのか?
結婚生活においてのお金の取り決めは、夫婦で決めればそれが答えだと思いますよね。
ですが、法律では、一言で、各家庭の自由…とは言えないのです。
夫婦共働きのケースの注意点
例えば、結婚する際に夫が生活費は全部を負担する、妻が仕事をして得たお給料は全部妻の好きに使っていいと夫婦間で取り決めをしていたような場合で、妻が働いたお給料は妻の貯蓄に回されていて、夫は生活費を全部支払うためお金が足りなくなって借金をしてしまい自己破産するという場合です。
この場合、夫は妻との関係では生活費は全て自分が負担すると約束していたのですから、これが原因で自己破産することになっても妻の貯蓄には関係しないようにも思えます。
ところが、法律上ではそのような個人の自由は許されません。
妻がもし自分の生活費分を負担していたら夫はここまで借金を背負うことにならなかったと考えられます。
こういう場合は、妻の貯蓄から本来妻が負担すべきであった生活費分の額を破産管財人から妻が請求されることになります。
妻からしてみると、これはなかなか納得できない結論だと思います。
そもそも結婚するときから生活費は夫が負担するという約束だった訳ですし、妻の貯蓄は妻が自分で働いたお給料からできたもので、夫の収入はこの中には入っていない訳ですから、どうして私が貯めた貯金まで取られることになるのか納得できないと思います。
働いていなければよかったということになってしまいます。
妻が専業主婦のケースの場合
共働きのケースでは、負担すべき分を管財人から請求されることになると伝えました。
逆のケースで、専業主婦の場合は、実際に給料として、収入を得ることはできないので、貯蓄をするとすれば、夫の稼いできた給料からということになります。
妻の財産とはなりませんが、夫の財産としてカウントされることになるので、そこも要注意です。
貯蓄がある場合は、管財人から各債権者に分配するため回収されてしまいます。(貯蓄額が20万円以上の場合)
ただし、子育て中などで、妻も働いておらず、貯蓄もないような場合は、取られるものがないので、妻に不利なものは何もないことになります。
まとめ
以上の観点を踏まえて、裁判所からしてみると、妻が専業主婦ならともかく働いて収入があるのであれば、夫に借金ができないよう家計を助ける義務があったとみなされてしまうということです。
非常に理不尽に感じるかもしれませんが、この裁判所の判断のポイントは、夫婦として、協力し合うことを指しています。
なので、私的な話を聞いて、どちらかの肩を持つことは、残念ながらありません。
こういったことも考えると、債務整理の相談には、夫婦で一緒にお越しくださると、話がスムーズになると思います。
無料相談をやっている法律事務所も多いのですし、当事務所は、相談料をいただかない主義でやっていますので、気軽にお越しください。