非免責債権|自己破産しても残る債務があることを知っておこう!
2021/04/25
自己破産をしても、残る債務というのはあるのでしょうか?
残念ながら、すべてが帳消しにならず、残る債務があります。
自己破産すれば、どんな借金も帳消しになる最終手段の魔法のように感じるかもしれませんが、実は「非免責債権」といって、自己破産の制度外として定められているものがあります。
そこに該当する支払いや借金は、自己破産をしても消えることがありません。
ということで、今回は「自己破産しても残る債務」について詳しくお話します。
「非免責債務」ってなに?
自己破産をして借金を全部チャラにしても必ず残ってしまう債務があります。
非免責債務(ひめんせきさいむ)といいます。
裁判所の免責の効力が及ばない債務のことです。
せっかく自己破産したのに、払わなければならないのです。
自己破産と税金
まずは、税金です。
税金は免責の効力が及ばないので、自己破産しても払わなければならないのです。
滞納中で溜まりに溜まった税金も、延滞税も含めて全部支払わなければなりません。
所得税、住民税、固定資産税だけでなく、国民健康保険料、国民年金の滞納分も免責の効力が及ばないのです。
自己破産と養育費
養育費は滞納分も含めて免責の効力が及ばないため、過去の分や将来支払う分の全ての支払い義務が全部残ります。
離婚して養育費を払っているという方は多いと思いますが、借金もあって支払いが大変で養育費を滞納しているという方もいらっしゃると思います。
養育費を滞納してしまうと、自己破産や個人再生では解決できません。
養育費だけは他の借金の支払いを後回しにしてでも毎月ちゃんと支払っておくのがよいと思います。
支払いを滞っていると、養育費を巡る調停や裁判、差押えなどをされてしまうことがあります。
損害賠償請求権は非免責債務になる
悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権は非免責債務です。
分かりにくいですが、悪意でというのは「わざとやった」ということです。
例えば、わざと隣の家の車に十円玉で傷を付けた場合の修理代です。
誤って隣の家の車に傷を付けてしまった場合の修理代は、わざとやった訳ではないので免責の対象になりますが、わざとやると免責されません。
故意は又は重過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権は非免責債務です。
さらに分かりづらいですが、故意というのは「わざと」ということです。
重過失とは、少し注意を払えば防げたのに、ぼーっとしていて起きてしまったという場合です。
例えば、居眠り運転で交通事故を起こしてしまい人に怪我をさせた賠償責任がこれにあたるので免責されません。
逆に、十分に注意して車を運転していたが、飛び出してきた子供を避けられず、子供に怪我をさせてしまった賠償責任は、故意も重過失もなく、通常の過失なので、免責されることになります。
【まとめ】免れられない税金・養育費・故意による損害賠償
いかがでしたか?
何もかもが、自己破産で対応できれば良いのですが、世の中は、そんなに甘くできていないかもしれません。
また、別の記事にて「自己破産しても借金が全額残る場合」という話も掲載していますので、自己破産をしても残る負債についても知っておいてくださると、債務整理で弁護士を頼るときの参考になると思いますので、合わせてお読みください。