自己破産と離婚どっちを先にするべき?弁護士が教えます
2021/04/30
自己破産と同時に離婚も考えているという方はよくいらっしゃいます。
経済状況が悪くなると、夫婦仲も悪くなってしまうのでしょう。
お金のことで夫婦で言い合いになり、夫婦関係の亀裂が深まっていくというのは容易に想像がつくところです。
そういうとき、先に自己破産した方がいいですか、離婚の方を先にした方がいいですかと聞かれることがあります。
なので、今回の話は「自己破産と離婚どっちを先にするべき?」についてです。
夫が破産する場合は、多くのケースで離婚が先
離婚に伴って夫から妻への財産分与がある場合、自己破産が先だと夫名義の財産は全て破産財団に入ってしまい、夫は財産がない状態になっていまい、その後の離婚では妻が夫に対して財産分与を請求できるものがないことになってしまいます。
自己破産の際に、夫名義の財産が夫婦の共有財産であることは残念ながら考慮されないのです。
妻に財産分与がある場合
離婚が先であれば、財産分与をしてから自己破産をすることになるので、妻は財産分与を得られます。
例えば、夫名義の子供の学資保険の解約返戻金が300万円あり、その他の財産はこれといってないという場合、自己破産が先だと、この解約返戻金は全額債権者への配当に回りますので、その後に離婚しても妻が夫に財産分与を請求できるものがないことになります。
離婚が先であれば、解約返戻金300万円のうち、2分の1は妻のものですので、150万円の財産分与を受け取ることができます。
夫の破産で財団に入るのは150万円だけということになります。
妻に財産分与がない場合
離婚に伴って夫から妻への財産分与がない場合はどうでしょうか?
夫の自己破産では、妻は家計収支表の作成に協力しなければならないですし、収入があれば源泉徴収票や給与明細書などの収入を証明する資料を裁判所に提出しなければなりません。
また、妻にも無駄遣いをやめてもらい節約に心がけてもらう必要があります。
離婚後に、夫が自己破産する場合、妻はもはや他人ですので、このような夫の自己破産に協力しなければならない義務から解放されることになるのです。
まとめ
離婚が決まっている状況であるのなら、離婚を先にした方が、財産分与のあるなしに関わらず、さらなる揉め事を作らずに済みそうですね。
離婚を後回しにしても、夫婦仲が悪くなってしまっていて、自己破産に伴う手続きの協力をお願いするのも大変です。
でも、もし、一緒に乗り越えることができたら、離婚という道を回避することにも繋がるかもしれませんね。
最終的には、ご夫婦でよく話し合うことが大切であると思います。