自己破産前に親が死亡した場合の相続はどうするべきか?
2021/05/03
自己破産を検討中に親が死亡してしまった場合、相続についてはどのようにすべきでしょうか?
人の死というものは、予期せぬことですし、自己破産しなくてはいけない状況下で、親が他界してしまえば、相続の問題も発生してしまいます。
もちろん、親の遺産を相続して、借金の支払いが完済しきれるのならば、それで事が解決できてしまうかもしれませんが、そうとも限りません。
ということで、今回の話は「自己破産前に親が死亡したときの相続問題はどうなるのか?」についてをお話します。
自己破産と法定相続人とは
例えば、あなたに800万円の債務があり、財産は何もないという場合で、父親が遺言書もなく時価1000万円相当の家だけを残して亡くなったとき、残された母親と妹との間で父親の相続についてどのようにするのがよいのでしょうか?
相続について何もせずに自己破産をした場合
この場合、父親の死亡と同時に法定相続が発生します。
法定相続分は母が2分の1で本人と妹は4分の1ずつです。
あなたには、1000万円の4分の1の250万円の相続財産があることになります。
母親が引き続きその家に住むという場合、母親が本人の持ち分を250万円で買い取ることになってしまいます。
具体的には、母親が破産財団に250万円を支払うことになります。
遺産分割協議をした後で自己破産した場合
では、あなたと母親、妹の3人で、家を全部母親のものとする遺産分割協議をした後で自己破産した場合はどうでしょうか?
この場合、あなたは本来なら250万円の法定相続分があったにも関わらず、全く受け取らないという不利な遺産分割協議をしているので、破産管財人から否認権を行使されることになります。
破産管財人は本人に不利な遺産分割協議を取り消して、本来受け取れるはずの250万円を母親に請求することになります。
ここでも母親は破産財団に250万円を支払うことになるのです。
相続放棄の手続きをした後で自己破産した場合
では、最後にあなたが相続放棄の手続きをした後で自己破産した場合はどうでしょうか?
この場合は、破産管財人は不利な相続放棄をしたとして相続放棄を取り消すことはできないのです。
なぜなら、相続放棄は財産の処分行為ではなく、そもそも相続人ではなかったことになるという身分行為だからです。
母親は250万円を破産財団に支払わなくて済むのです。
という訳で、自己破産を検討中に親が死亡した場合は、相続放棄をしてから自己破産をするというのが正解になります。
まとめ
あなたのケースに当てはまる内容ではないかもしれませんが、自己破産検討中に、あなたが法定相続人になるようなことが起きた場合には、どのような方法を取るべきか悩むこともあると思います。
大切な遺産をどのように扱えるのか、不安な時には遠慮なく弁護士に相談してくださいね。