財団債権と破産債権とは何か?
2021/06/10
破産管財人は、どんなことしているのか気になりますよね。
自己破産で、没収されることになったあなたの財産の行方を解説したいと思います。
まず、破産管財人が管理する破産者の財産を総称して「破産財団」と呼び、この破産財団から各債権者への弁済若しくは配当がされますが、当然全ての債権者に支払える財産は残っていませんから、これには優劣があります。
優劣の順番は以下のとおりとなります。
①財団債権
破産手続きによらず破産財団からいつでも弁済を受けられる債権です(配当を待たない)
例えば、破産申立費用や裁判所費用、管財人報酬(予納金)、税金(破産手続開始前の原因に基づいて生じた請求権であって、破産手続開始当時、まだ納期限の到来していないもの又は納期限から1年を経過していないもの)、未払賃金(破産手続開始決定前3ヶ月のもの)、破産手続開始後に破産管財人が従業員を解雇した場合の解雇予告手当等です。
なお、未払賃金は「3ヶ月分」では無い点に注意して下さい。
例えば、以下の時系列の場合、財団債権に当たるのは、破産手続開始決定3ヶ月前の3月1日~解雇通知のあった4月30日までの2ヶ月分となります。
2021年1月1日 賃金の支払停止
2021年4月30日 破産手続きによる解雇通知
2021年6月1日 破産手続開始決定
財団債権に当たらない未払賃金は優先的破産債権となり、この場合は1月1日~2月28日分が該当します。
②破産債権
財団債権を全て弁済した上でまだ余剰がある場合には、破産債権に対する配当が行われます。
なお、破産債権にも配当についての優劣がありますので上位から記載します。
A 優先的破産債権
破産財団に属する財産につき、一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権で、財団債権に該当しない税金・未払賃金、解雇予告手当、マンションの滞納管理費修繕積立金等です。
B 一般の破産債権
優先的破産債権や劣後的破産債権、約定劣後破産債権のいずれにも当たらないもので、多くはこの一般の破産債権として扱われます。金融機関からの借入や買掛金が該当します。
C 劣後的破産債権
優先的破産債権及び一般の破産債権に劣後する破産債権で、破産手続開始後の利息や遅損金、破産手続開始後の原因に基づく税金等が当たります。
D 約定劣後的破産債権
破産者と債権者の間で破産手続開始前に、その配当の順位が劣後的破産債権よりも後順位になると合意がされた債権
まとめ
漢字も多く、普段から使い慣れない、聞きなれないものばかりだと思いますが、自己破産するにあたって、関わってくるものを書き出させていただきました。
そして、破産財団に没収されたお金は、どのように分配されることになるのかについても、合わせて書いてあります。
あなたのお金は、A~Dに優劣がつけられて、分配されたり、弁済されているということです。
こういったことも、相談の時に直接ご説明していますので、どうぞお気軽に不安なこと、疑問に思うことを弁護士にぶつけてくださいね。