自己破産と口座凍結「ヤミ金と関わりがある場合は厄介なことになります」
2021/06/30
自己破産をしてもあなたの預金口座が使えなくなることはありません。
ただし、預金口座が使えないのと、口座凍結はちょっと意味合いが違います。
今日は「口座凍結」という話を軸に2つのことをお話します。
1つは、銀行からの借り入れがあって起こる「口座凍結」
2つ目は、ヤミ金と取引があって起こる「口座凍結」です。
銀行からの借り入れがあって口座凍結が起こる場合
銀行から借り入れがあり、その銀行に預金口座を持っている場合は自己破産の前の段階すなわち弁護士が銀行に受任通知を送った段階で、その銀行の口座のみ凍結がかかります。
この場合の口座凍結は銀行が貸したお金を保証会社に対して代位弁済の請求をするために必要な手続きです。
銀行の都合で凍結をかけているため、自己破産の手続きに必要な口座の取引履歴の請求や通帳記帳は問題なくすることができます。
しかし、この凍結とは別の理由により口座に凍結がかかることがあります。
犯罪行為に口座が不正利用されたとして口座が凍結される場合です。
ヤミ金との取引は要注意!口座凍結されて巻き込まれるリスクがある
自分の口座が犯罪行為に利用されるなんて、口座を他人に売却でもしない限り起こらないと思いがちですが、そうでもありません。
よくあるケースとしては、ヤミ金からお金を借りたという場合です。
ヤミ金から借りたお金を振り込んでもらっただけなら、ヤミ金行為をした訳ではないから犯罪行為に口座が利用されたことにはならないようにも思えます。
しかし、ヤミ金がいわゆる「客振り」をした場合にはそうもいかなくなります。
客振りとは、
ヤミ金のAという客から返済を受けるはずの3万円を、Bという客の3万円の貸し付けのために、直接Aの口座からBの口座に3万円を振り込ませることを言います。
ヤミ金としては、自分の口座を介さずに、Aからの3万円の返済とBへの3万円の貸し付けを同時に行うことができます。
Aはヤミ金の客であるにもかかわらず、別の客Bから見るとAの口座はヤミ金の口座に見えてしまうのです。
自己破産を行う上で、このタイプの口座凍結はやっかいです。
自己破産の申立てには持っている口座の取引が記載された通帳や取引履歴を添付することが必要ですが、このタイプの凍結は通帳記帳もできず、口座取引履歴の明細の請求も何もできないのです。
銀行が口座凍結を解除するまで、自己破産の申立てを待つしかないということになってしまいます。