住宅資金特別条項が使えない!個人再生を住宅の価値で断念しなくてはならない場合とは
2021/05/04
住宅と住宅ローンがあって住宅資金特別条項を使って個人再生をする場合、住宅の価値によては個人再生を断念せざるを得ないケースがあります。
住宅の価値に余剰が出過ぎてしまうケースです。
どういうことかと言うと、親からもらった土地にローンを組んで家を建てたとか、住宅ローンの頭金を多額に支払っているような場合で、住宅ローンの残債額が住宅の価値に比べて著しく低い場合です。
住宅ローンの残債額が住宅の価値に比べて著しく低い場合とは
例えば、3年前に親がマンションを買う際に頭金を1000万円出してくれたので、3000万円のマンションを購入して2000万円だけをローンを組んだという場合で考えてみます。
現在マンションの価値は2800万円になっていて、住宅ローンも1900万円になっているとします。
個人再生には、清算価値保証の原則というものがあり、個人再生で支払う弁済額はその方の持っているプラスの財産の総額を下回ることができないことになっています。
そして、このプラスの財産には住宅の価値から住宅ローンの残債を差し引いた余剰が含まれることになるのです。
総債務額が800万円だと5分の1は160万円になります。
清算価値がこの160万円を下回っていれば個人再生で支払う弁済額は160万円になります。
先の例では、住宅の価値が2800万円で住宅ローンの残額が1900万円ですので、余剰が900万円になってしまい、これがまるまる清算価値に乗っかってしまうのです。
そうすると、総債務額よりも清算価値の方が大きいことになっていまい、総債務額を超えては支払う必要はないので、弁済額は800万円ということになってしまいます。
これでは、そもそも個人再生をする意味がありません。
この場合は、やむなく個人再生を断念せざる得ないということになります。
マンションを売れば2800万円になるので、住宅ローンの残り1900万円を支払っても900万円は手元に残るから、800万円の債務は払えるでしょうということになってしまうのです。
まとめ
こういった複雑なことは、なかなか相談者の方に認知されているものではありませんので、債務整理を専門に取り扱っている弁護士に相談するようにしてくださいね。
無料相談をやっている法律事務所も多いので、お近くの法律事務所へ足を運んでみてください。
なかなか法律というのは、すべてのケースに万能に作られているわけではないので、不本意な結果になることもあると思います。
そのあたりも経験から、何かアドバイスできることもあると思いますので、ぜひ、頼ってくださいね。