借金と生活費の関係(高収入でも債務整理を検討できるのか?)
2021/05/17
債務整理という言葉を聞いたことがありますか?
一言で言えば、借金の支払いが多くなってしまった時の救済制度です。
その方法は、任意整理・個人再生・自己破産の主に3種類です。
ですが、収入がある程度ある場合に、債務整理を行うことは、許されることなのでしょうか?
説明と共に検討していきたいと思います。
個人再生を検討した時の収入と支出の関係
個人再生は、継続的に安定した収入があって、収入の中から再生計画案の弁済が可能な場合に取る手続きです。
では、収入が多すぎて余裕がありすぎる場合でも個人再生できるのでしょうか。
例えば、債務の総額が600万円あって、給料の手取りが40万円ある場合で考えてみます。
手取り40万円あっても、かかる住居費や家族構成によって支払いに回すことができる金額は人それぞれです。
仮に1人暮らしで家賃や光熱費、食費、携帯代など毎月かかる生活費が20万円だった場合、収入の中から支払いに回せるお金は20万円あることになります。
個人再生だと月3万3000円を3年払うことになり、任意整理だと月10万円を5年払うことになります。
個人再生の方が負担が少ないので個人再生をした方がお得ですが、裁判所はこれをなかなか認めてくれません。
裁判所は、任意整理で十分払える経済状況なので、個人再生の申立てを取り下げて任意整理をするように言ってきます。
つまり個人再生ができないということになります。
債務整理は、生活の収入と支出の関係が影響する
これに対し、同じ手取り40万円であっても、専業主婦の妻と子供3人いて生活費が多くかかり、月に35万円の生活費がかかっている場合、支払いに回せるお金は5万円ということになります。
この場合、任意整理の月10万円を支払うことはできませんが、個人再生の月3万3000円は支払うことは可能ということになり、個人再生が認められるということになります。
このように書くと、収入が多くても支出が多ければ個人再生が認められるのであれば、生活費を多く使って、支出を増やせばいいのかと勘違いされがちですが、無駄に多く生活費を使っている場合には、裁判所からのチェックが入りますので、あくまで無駄使いをしないでかかる生活費が重要ということになります。
まとめ
同じ収入だったとしても、借金の額の多さだけではなく、その人その人の生活の収入と支出のバランスも裁判所は重視するということがわかっていただけましたか?
つまり、法律では支払い能力のある人には、支払いを免除させないようにしているということです。
借金の総額だけで判断せず、本当に支払いが厳しいのかを裁判所はチェックしています。
そして、あなたの生活の中の支出についても、裁判所の許容範囲があると思います。
借金を見直したい場合、どのような提案ができるか弁護士は一緒に考えるのが仕事です。
あなたの置かれている状況を十分に配慮した上で、最善の提案をすることをモットーとして、当事務所は今日もお待ちしております。