全額弁済なら個人再生と任意整理どっち?そのカギは住宅ローンにある!
2021/05/26
個人再生を受任した後で、財産を調査していくとご本人も把握していなかった学資保険があったり、当初の見込みよりも住宅の価値の余剰が大きかったりして、清算価値が大きくなりすぎてしまい、清算価値の額が総債務額を超えてしまう場合があります。
個人再生では、清算価値保証の原則があるため、清算価値の額については弁済の必要がありますが、総債務額を超えて支払うことはないため、この場合総債務額が再生計画案に書く弁済額ということになってしまいます。
総債務額が弁済額ということは、
債務の全額を個人再生で支払うということになります。
一体どうなってしまうのでしょうか?
説明していきます。
このような個人再生は認められるのか?
免除率がゼロパーセントの個人再生は、そもそも個人再生をする意味がありません。
個人再生は最長でも5年の弁済なので、5年の分割払いの履行可能性があるのであれば、任意整理でも弁済は可能ということになります。
個人再生をするのではなく、任意整理をすればよいということになります。
仮に、これを裁判所に個人再生を申立てたとしても、裁判所からは任意整理でやって下さい、申立ては取り下げて下さいと言われることになります。
住宅ローンの有無
ただ、住宅ローンがある場合で、住宅ローンの滞納が6か月以上あり、住宅ローンの保証会社による代位弁済が終わっている場合には、このままにしておくと抵当権が実行されてしまい、自宅を失うことになってしまいます。
このような場合には、住宅資金特別条項を利用した個人再生を行って、住宅ローンの巻き戻しを行う必要があります。
この場合は、任意整理では自宅を残すことができませんので、全額弁済する個人再生でも認められることになります。
保証会社が全額代位弁済しても、代位弁済した日から6ヶ月以内に民事再生法に則った個人再生を裁判所に申立てることができれば、住宅を失わずに済む方法です。
まとめ
全額弁済となる場合には、住宅ローンの有無によって、個人再生手続きにも大きな意味があります。
決して、弁護士の依頼費用だけで判断をしないでください。
相談者の方にとって、大切な自宅を残すために、僕は自分のことのように考えて、できる限りの提案をするように心掛けています。
そこが弁護士の腕の見せ所ではないでしょうか?