【任意整理】繰り上げ返済の最大メリットは「信用情報の早期回復」
2021/08/19
任意整理をして5年の分割払いで合意ができたが、5年ではなくもっと早く払い切ってしまいたいという場合があります。
例えば、任意整理をしたことで、毎月の生活に余裕が生まれたとか、収入が増えたりしたら…
繰り上げ返済を考えてみることがあると思います。
Q:繰り上げ返済は可能なのか?
A:可能です。
任意整理後に繰り上げ返済することに問題はありません。
残っている残債を全部払い切ってしまうことも、一部の債権者のみ繰上げて返済することも、余力分の上乗せをすることも可能です。
具体的な方法
残債全部を払い切る場合、ご自身で現段階で残っている残債額を把握されていればその額を指定の振込先口座に振り込んでしまえばよいです。
現段階での残債額が分からない場合は、債権者に問い合わせすれば教えてくれます。
一部のみ繰り上げて返済する場合は、単に繰り上げて支払いたい額を指定の振込先口座に振り込んでしまえばよいです。
注意点
当事務所では、業務終了と同時に委任契約も終了します。
細かいやり取りは、直接債権者の方とお願いします。
委任契約が完済まで続く契約をされている方は、依頼した弁護士に直接お尋ねください。
繰り上げ返済をするメリット
任意整理では、将来利息といって分割で払っている間の利息が免除されている場合が多いため、合意額より多く払うことに経済的なメリットはありません。
ただ、信用情報は残債を払い切ってから5年で回復するため、信用情報が早く回復するというメリットはあります。
繰り上げ返済をすると、完済までの期間を短縮することができます。
つまり、
完済日から5年後にブラックリストから消えるということです。
※一部のみの場合は、すべて完済した日から5年。
繰り上げ返済の注意点
一部の債権者に対してのみ繰上げ返済を行うという場合は、ひとつだけ注意しておかなければならない点があります。
それは、返済の途中で分割弁済が困難になってしまい、自己破産をするということになった場合、一部の債権者に対する繰上げ返済が偏波弁済とみなされる場合があるということです。
自己破産の手続きで偏波弁済があるということになると、破産管財人が選任される事件になったり、管財人による否認権行使の対象になったりするため、自己破産の手続きが複雑になります。
※偏頗弁済とは…
特定の債権者にだけ支払いをし、債権者の平等を侵害する行為のこと
弁護士からのアドバイス
生活に少しゆとりが生まれた時、早期完済を目指すか、返済計画通り支払っていくか迷うことがあると思います。
(メリット)
・信用情報の早期回復が狙えること
・完済までの期間が短縮できること
(デメリット)
生活の余力を失った時、補填するものがないこと
(アドバイス)
迷う時は、後者の「返済計画通り」にしましょう。
任意整理後は、信用情報の問題もあるので借入をして補填することができません。
余力は、残しておくことをお勧めします。
まとめ
任意整理後に繰り上げ返済をすることができるかの答えは、可能です。
それは、債権者全部でも、一部でも可能ということです。
完済の仕方は、振込時に全額返済という形で完済できます。
しかし、一部の債権者のみの全額返済をした場合に、その後の経済状況の悪化で、自己破産を検討する場合には、偏頗弁済をしたという問題視される恐れがあるということを覚えておきましょう。
<弁護士から一言>
あなたの状況が、好転する知らせの1つにもなりうる記事を読んでくださり、弁護士として嬉しい限りです。
これからもその調子で、頑張ってくださいね。