個人再生では保証債務があると弁済額が低くなる
2021/05/19
個人再生で、ご自身で借りている債務の他に、連帯保証人になっていて保証債務があるという方がいらっしゃいます。
この保証債務も債権者一覧表に載せることになりますし、弁済額の決定では普通の債務と同様に扱われることになります。
ですが、この保証債務は、個人再生手続きをして、弁済額(実際に支払っていくことになるカットされた借金)を決める時には、どのようなカウントになるのでしょうか?
説明していきます。
保証債務があると個人再生の実際の弁済額が低くなる場合がある
例えば、普通に借りている債務が1000万円だけの方の場合、1000万円の5分の1の200万円を3年で払うので、1か月の弁済額はおよそ6万円です。
これに対し、普通に借りている債務が1000万円あって、保証債務が2000万円ある方の場合、3000万円の10分の1で済みますので、300万円を3年で払うことになり、1か月の弁済額はおよそ8万5000円ということになりそうです。
しかし、この保証債務の主債務者がちゃんと主債務を払っている場合、保証債務はすぐに払わなければならない債務ではないということになります。
この場合、再生計画案で実際に支払うのは保証債務を除いた1000万円の部分だけで10分の1で済みますので、100万円を支払うということになり、1か月に支払うのはおよそ3万円ということになります。
1000万円の債務として、個人再生をしているのか
3000万円の債務として、個人再生をしているのかの違いがあります。
個人再生では、借金総額に応じてカットされる割合が決まっています。
弁済額が安くなると喜んではいけない注意点
個人再生では、5分の1の200万円となり、月額6万円の支払いです。
総額の3000万円では10分の1の300万円となり、月額8万5000円の支払いです。
しかし、現時点では、保証債務の分を支払う必要がありません。
1000万円分の弁済額、月額3万円の支払いで済むという計算になります。
ですが、保証債務分の5万5000円は支払える状況で、毎月貯めておく必要があります。
あくまで、主債務者が主債務の支払いができなくなった場合の話ですから、ちゃんと主債務者が主債務を完済すれば、この貯めておいた分は自由に使うことが可能です。
保証債務についての弁済額は200万円であることが個人再生手続きで決定します。
再生計画案に従って完済し終わっても、保証債務分の効力は残ります。
①自分の1000万円分の弁済途中に、保証債務の主債務者が支払不能となれば、あなたが返済をする必要がでてきます。
この時、経過月数×5万5000円の貯蓄分が必要になり、毎月3万円の返済から8万5000円の返済へと変わります。
②1000万円分の返済も終わり、数年後に主債務者が支払不能となっても、新たに借金を背負うことはなく、個人再生手続きで保証債務の弁済額は200万円となっています。
よって、保証債務を被った時には、200万円の弁済が必要です。
つまり、個人再生の弁済が終わっても、主債務者が完済するまで、総額200万円というお金はいつでも出せるように準備しておく必要があるということです。
あなたの弁済終了時点ではなく「主債務者が完済するまで終わらない」ことを忘れないでください。
まとめ
保証債務分の考え方は、少し複雑かもしれません。
保証債務に対して個人再生の効力は、完済後も続きます。
よって、主債務者の状況次第で変わるので、備えが必要です。
200万円という金額は決して安くありませんし、貯蓄として考えられないので複雑な心境になるかもしれません。
主債務者の完済後に使える貯金だと思って、どうか使い込むことのないように積み立てておいてください。
万が一、主債務者が支払不能となり、あなたが200万円を支払えないとなると、また新たな債務整理が必要となる可能性が高くなりますので忘れないでください。