個人再生の債権者の申告漏れした場合にはどうなるのか?
2021/05/31
個人再生と自己破産は、全ての借金を債権者一覧表という書面に記載をして、裁判所へ申し立てる必要があります。
債権者一覧表に載せられなかった(申告漏れ)借金はどうなるのでしょうか?
何かペナルティなどはあったりするのでしょうか?
説明していきます。
個人再生手続きの場合
個人再生開始決定後でも債権届出期限前の場合には、申告漏れの債権者にお願いをして債権者から裁判所へ申し出てもらう方法があります。
債権届出期限が経過し、再生計画案の書面決議決定がされてしまった後は、債権者一覧表の修正は出来ませんので、申告漏れの債権は無届債権として扱われることになります。
無届債権となってしまっても、再生計画による権利変更を受けることは出来ます。
しかし、個人再生は債務総額が多いほど免除率が高くなるため、無届債権があると、その免除率は低下することとなってしまいます。
例を挙げて解説
無届債権がない
全ての借金300万円について債権者一覧表に記載した場合
再生計画による返済総額は100万円、月々27777円の支払いとなり、残り200万円は免除となります(免除率67%)
無届債権がある
全ての借金300万円のうち、債権者Aへの借金50万円について申告漏れがあり、債権者一覧表に記載していない場合
債権者一覧表に載っている金額250万円を元に再生計画は認可されます。
そうすると、再生計画による返済総額は100万円、月々27777円の支払いというのは同じですが、免除額は150万円に留まります(免除率60%)
加えて、無届債権である債権者Aへの借金50万円についても、再生計画と同じように支払いをする必要がありますので、50万円×(1-免除率60%)=20万円について、月々5555円の負担が発生します。
そうすると、
27777円+5555円で毎月の支払いは33332円に増える訳です。
なお、無届債権となったことが債権者の責任によるものの場合は、無届債権の支払いは、再生計画による支払いを完了した後から開始することになります。
上記の例で言うと、27777円を3年間払ったのち、4年目から5555円の支払いを3年間するということです。
また、債務者がうっかり忘れて、では無く、意図的に特定の債権者を申告せず、債権者一覧表に載せなかった場合には、再生計画自体が認可されない可能性もありますので、弁護士に依頼の際には必ず全ての債権者について申告して下さい。