住宅ローンがペアローンの場合の個人再生はどうなるのか?
2021/05/20
ペアローンとは、夫婦等が同じ金融機関から、夫のローン部分、妻のローン部分に分けて、2本立ての住宅ローンを締結し、住宅(夫婦共有不動産)全体に夫婦それぞれを債務者として抵当権を設定するものです。
例えば3000万円の住宅ローンを申し込んだ際、夫ひとりでは2000万円しか審査が通らなかったため、妻が残り1000万円の住宅ローンを組んだ上、3000万円の抵当権が住宅全体に付いている場合です。
このペアローンについては、原則、住宅資金特別条項を定めることが出来ないことになっています。
しかし、住宅資金特別条項を利用出来ないとなると、抵当権を実行されて自宅失うことになってしまいますので、一定の条件を設けて利用が可能な場合があります。
大切な自宅を守りたい、失いたくない…
まず、同一家計を営んでいる夫婦について、両方が住宅資金特別条項を定めた個人再生を申し立てる場合は、住宅資金特別条項の利用はほぼ認めてもらえます。
また、妻に住宅ローン以外の債務が無く、妻が個人再生(債務整理)をする必要が乏しい場合に、夫のみが住宅資金特別条項を定めた個人再生手続きを利用出来るかについては、住宅ローンと抵当権の設定状況、返済状況、夫婦の収入状況、住宅ローン債権者の意向等の諸事情を考慮した上で判断されますが、例外的な扱いなので審査は厳しいものと思われます。
なお、名古屋地方裁判所では、ペアローンの場合には全件、個人再生委員が選任される運用となっていますので、併せて確認が必要です。
個人再生委員とは
個人再生委員とは、裁判所に代わって、個人再生する方の財産や収入、借金の状況などの調査を行う、裁判所から選任された弁護士のことです。
ペアローンだけでなく、個人事業主や個人再生の再生計画に疑問を抱かれるような事案である場合に選任されます。
この再生委員にも、費用が発生します。
もしも、選任されることなった場合は、15~20万円を一括で支払わなくてはならないということを覚えておいてください。
まとめ
住宅ローンの中でも、ペアローンを組んでいる場合は、住宅資金特別条項が使えます!とは、一言で断言しにくい事案となりますので、あなたの状況をよくお聞かせいただいた上で、方針を立てていく必要があります。
このように、できると思っている手続きでも、問題にぶつかることがありますので、相談での聞き取りは、とても重要なものとなります。
いろいろと質問されて、嫌な部分もあるかもしれませんが、借金をどうにかしたいと思うあなたの助けをしたいが故です。
あらゆる可能性から提案をすることができるのは、弁護士の腕にかかっているので、納得いくまで相談に時間を費やしてくださいね。
当事務所であれば、相談料はいただいておりませんので、お気軽にお越しください。